事例研究(ツイッターによる名誉毀損)2022/06/22
【「言論弾圧的で不当です」 斎藤環さんのツイート、控訴審も「精神科病院への名誉毀損」認定 賠償は100万円に増額】~弁護士ドットコムニュース
<記事抜粋>
精神科医・斎藤環さんによるツイッター投稿で名誉を傷つけられたとして、東京都内の精神科病院が300万円の損害賠償などを求めた裁判の控訴審で、東京高裁は6月1日、100万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
1審の東京地裁は、投稿のうち1つについて名誉毀損を認め、20万円の支払いを命じていたが、高裁判決は、問題となった7つの投稿すべてが名誉毀損にあたるとし、賠償額も増額した。
斎藤さんは報道などに基づくツイートが名誉毀損にあたるとすれば「言論弾圧」だとして、「驚いております。戸惑い怒り、いろいろな感情。不当判決だと痛感している」と眉をひそめた。
<争点>
ツイッターによる名誉毀損の成否
<所感>
一審と二審で、真実性・真実相当性が認められる範囲が大きく異なっており、そのために控訴審判決で認容額が増額されたということは、東京高裁が真実性・真実相当性の判断に際して東京地裁と異なる法解釈を採った(一審ではツイッターの各投稿を個別に判断して複数の投稿のうち一投稿のみを名誉毀損と認定したのに対し、二審は複数の投稿を一体のものとして全体的に考察してすべて名誉毀損的投稿に該当すると判断した。)からであり、斎藤医師には少なくとも上告受理申立て事由たる「法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件」(民訴法318条1項)に該当する事件であると解される。
真実性立証はともかく、真実相当性の判断において、本件で問題となるのは、ニュース報道を真実と信頼(または誤信)してタイムリーに批判的内容のツイートをすることが果たして「名誉毀損」に該当するか、という論点である。
報道機関はしかるべきニュースソースに基づいて報道しているはずであり、仮に報道機関が事実無根の報道をしていたのであれば、当該ニュースに依拠して批判的内容のツイートをした斎藤医師を訴えるべきではなく、まずは報道機関の名誉毀損不法行為責任を追及するのが筋である。
東京高裁は、そこまで精査したうえでなお一審判決を覆したのかは、判決文を確認していないのでなんとも言えないところだが、いずれにせよツイッターにおける表現の自由という憲法上の権利に関わる重要な問題であることに変わりはないので、上告理由(民訴法312条1項)も認められる可能性は高い。
斎藤医師には、是非上告して争ってほしい。
ちなみに斎藤医師は、『生き延びるためのラカン』という軽妙なラカン入門書を著した人で、他にも『世界が土曜の夜の夢なら』など一般人向けの啓蒙的な著作を多数著している言論人である。
私は、この事件が起きるずっと以前から斎藤医師のファンであり、本件は同業者(精神科医)からのただのスラップ訴訟であると考えている。
https://www.bengo4.com/c_23/n_14548/?fbclid=IwAR09pask5JGOFYZhcp2OvaFreuxqwIbaDTMKKRG5isYDcg504TjF1WUcLyw
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