事例研究(侮辱的発言と弁護士懲戒) 2022/06/21
【「頭がクサっているから…」 木村草太氏を侮辱した弁護士を処分】~ヤフーニュース
<記事抜粋>
法律事務所のブログで木村草太(そうた)・東京都立大教授(憲法学)を侮辱したとして、日本弁護士連合会が、埼玉弁護士会に所属する男性弁護士を戒告の懲戒処分にしていたことが分かった。
埼玉弁護士会は表現の自由の観点から「懲戒しない」と判断したが、日弁連が覆した。
<争点>
侮辱的発言と弁護士に対する懲戒
<所感>
この記事は、岡口裁判官が投稿していたから知ったのだが、いろいろな意味ですごい事件だ。
弁護士だったら、木村先生がどういう先生か分かっているだろう。
当然、被請求者も木村先生の属性を分かったうえで、敢えて木村先生に暴言を発しているのだろう。
被請求者は、素人ではなく、プロだから、自分が発した言葉が法的な意味で名誉毀損ないし侮辱に該当することも分かっていただろう。
刑事処分の対象とならなくても、すくなくとも弁護士の品位を害する表現であることはまちがいない。
そして、埼玉弁護士会が、被請求者を懲戒しないと判断したのも疑問ありとせざるを得ない。
おそらくは請求者が木村先生自身であり、木村先生が弁護士会の不処分に対し日弁連への不服申立てをしたものと思われるが、これも異例のことである(一部の懲戒請求マニアは別として。)。
木村先生が代理人を付けており、代理人の判断で不服申立てをした可能性ももちろんあるが。
私も、たまに木村先生のツイートを拝見して、私見を述べることがあるが、常に木村先生の見解と一致しているわけではなく、「ここが学者と実務家のちがいかな」という趣旨の投稿はしたことがある。
私は、木村先生の著書を拝読したこともあり、木村先生を尊敬してもいるが、考え方がちがう点については「それはちがうんじゃないか。」という形で指摘している。
本件の被請求者も、木村先生の見解と私見とのちがいを指摘するだけにとどめておけば、こういう問題にはならなかったはずなのに、なぜ木村先生を揶揄し、侮辱するような表現に出てしまったのか。
これくらいなら許されるだろうという被請求者の甘い見通しが透けて見える。
そして埼玉弁護士会も、所属弁護士に対して甘すぎる。
さて、被請求者は、日弁連の戒告処分を取消訴訟で争うのだろうか?
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