事例研究(エンドースメントテスト) 2022/07/13

【三浦瑠麗氏 安倍元首相に関する〝陰謀論〟に警鐘「人間は常に知的ではいられない」】~ヤフーニュース


<記事抜粋>

三浦氏は安倍晋三元首相の銃撃事件と統一教会の関係について12日に「本件は陰謀論となりつつあります。誰それが『統一教会』だとか、信者だとか、黒いつながりだとか根拠なしに書き込むのは、ヒラリーに対して『児童売春組織』関与云々のデマを振り撒いたり、誰かを在日朝鮮人ではないかと書き込んだりするのと同様のことです。人権に対するリテラシーが必要です」と投稿。


<争点>

政教分離原則違反の違憲審査基準(エンドースメントテスト)


<所感>

三浦氏は、安倍氏が生前統一教会の代表者に対して「敬意を表します。」というビデオメッセージを送った「事実」は知っているはずである。

これは思い込みやデマではなく客観的な「事実」である。

三浦氏は、国際政治学者を自称しているようだが、残念ながらアメリカ最高裁の判例法理であるエンドースメントテストは知らなかったようだ。

エンドースメントテストというのは、" According to the test, a government action is invalid if it creates a perception in the mind of a reasonable observer that the government is either endorsing or disapproving of religion."とウィキペディアの説明にあるように、「政府の行為が合理的観察者の精神に、政府が宗教を支持している又は否認しているという知覚を生じさせたならば、当該政府の行為は無効となる」とする違憲審査基準である。

これを安倍氏のビデオメッセージに当てはめると、<安倍氏は統一教会を支持している>という知覚を合理的観察者の精神に生じさせており、当時安倍氏は元内閣総理大臣である現職与党議員という地位にあったのであるから、安倍氏の現政権に対する影響力の大きさに鑑みると、これを政府の行為と同一視することになんらの不合理性も見当たらない。

よって、エンドースメントテストに照らして判断すれば、安倍氏が統一教会代表者に好意的なメッセージを送った行為は、国家レベルの「犯罪」に等しい行為である。

なぜなら、安倍氏が好意的メッセージを送った相手方たる宗教団体は人畜無害な宗教団体ではなく、日本社会を蝕む悪辣な宗教団体であり、安倍氏はこの悪辣な宗教団体を精神的に支援したのであるから。

もちろんその「犯罪」を犯した本人は既に逝去しているから、その責任を追及することはもはやかなわないのだが。

三浦氏も安倍氏の訃報に接して知的ではいられなかったということか。

「陰謀論」の一言ですべてを収束させ、安倍氏の責任追及を試みる人たちに対して「人権に対するリテラシーが必要」と言って、切って捨てようとする姿勢は弾劾されなければならない。

三浦氏は、国際政治学者なのにエンドースメントテストも知らないで、よく「人権に対するリテラシー」とか偉そうなことを言えるな…と逆に感心した次第である。