事例研究(パワハラ) 2022/07/23

【「ジョナサン」店長が暴力、部下は骨折 「こいつは動物」「痛みを与えねえとわからねえ」暴言も】~弁護士ドットコムニュース


<記事抜粋>


外食大手のすかいらーくホールディングス(HD)が運営するファミリーレストラン「ジョナサン」の店舗で働いていた30代男性が、店長(当時)から肋骨を骨折するなどの暴力を受けていたことが分かった。

男性が所属する労働組合「総合サポートユニオン」が7月22日、都内で会見を開いて明らかにした。

会社側は事実を認め、店長は4月に懲戒解雇された。

男性は現在労災申請中で、傷害などの疑いで刑事告訴も予定している。

現在休職中の男性は「毎日のように怒鳴られ、罵倒され、殴られ、胸ぐらを掴まれたりして、日々生きるのがつらかったです。私に対して休日出勤やら、深夜残業、休憩不取得などをほとんど認めてくれていません。私が必死に働いた時間を認めていただきたいんです」と訴えた。

男性は正社員として新卒入社。

2020年9月にジョナサン芝公園店に異動後、店長からのパワハラが始まった。

洗い物の汚れを理由に「お前は頭が悪いから」と頭を叩かれたり、「こいつは動物だから、痛みを与えねえとわからねえから」などの暴言を吐かれたりしたという。

2021年8月には、アルバイトのミスを理由に店長から殴られ、右肋骨を骨折した。

その際店長から「お前は喉元過ぎるのは早いから、痛みを与えないと覚えない。いい勉強になったな」などと言われたという。

男性は2022年4月、会社の社外相談窓口に相談し、営業部長と面談したが休職を拒否された。

その後、労働組合に加入し団体交渉を申し入れ、店長の懲戒解雇やハラスメント研修の見直しなどを要求した。

男性側は勤怠記録をつけずに働くよう事実上指示されており、多い時に月190時間ほどの残業をしていたと主張しているが、会社側は認めていないという。


<争点>

パワーハラスメント


<所感>


長い間フリーターのような生活をしていた私が言うのは口幅ったいところがあるが、そもそも社会人として他人を殴って指導するということが信じられない。

指導名下で、ストレスの発散をしていたのか。

別の報道記事によると、被害者の男性はもともと家族の笑顔に満ちたファミリーレストランの雰囲気が好きで、ジョナサンに入社したらしい。

つまり、彼は非常に志の高いファミレス従業員であり、最近の俗語で言うと「ガチ勢」である。

ファミレスに行くと、たしかに無表情で接客している従業員と、心から楽しんで接客をしているようにみえる従業員がいる。

こういう志の高い従業員を大切にしない企業はたいてい衰退していく。

固定観念で言ってしまってはいけないとは思うが、飲食業界にはこういう「店長」がたくさんいるのではないか。

そういう「店長」を野放しにする企業も同罪である。

刑法を改正するなら、侮辱罪なんか改正しないで、業務に関連してなされた傷害行為について使用者も罰する両罰規定を設け、超高額の罰金刑を科すべきだ。

それぐらいの制裁を加えないと、本件のようなパワハラは根絶できない。

本件の店長も入社直後は高い志を持っていたのだろうか。

おそらく接客スキルは高かったから、店長まで出世できたのだろう。

しかし、性格の明るさ、快活さ、積極性、外向性は得てしてアンビヴァレントなもので、それが攻撃的な躁状態をもたらす危険性を孕んでいる。

明るく快活で何事にも積極的外向的な人間は、怒りを間違った方向に表出してしまう。

具体的には、鉄拳制裁だ。

「言って分からないなら、ぶん殴って、体に教えてやる。」といった類の台詞は、普通(堅気)の人の口からは絶対に出てこないし、ましてそれを実行するなんて言語道断だ。

前掲別の報道記事によると、被害者の男性は異常な長時間にわたる時間外労働をさせられたうえ、トイレ休憩もろくにとらせてもらえず「オムツはいて仕事しろ!」と店長から言われていたらしい。

ここまでくると、完全に奴隷扱いである。

すかいらーくHDもこんな実態は直視したくないだろう。

店長は当たり前だが自分に不利な報告は一切しないし、本社は、店長の報告を一応真実と推定するからろくな調査も行わない。

ちなみに勤怠記録をまともに付けさせてもらえない会社において残業・休日出勤の証拠を残す典型的な方法は、毎日会社のPCから自宅のPCに出勤時と退勤時にメールを送信するという方法がある。

自宅にPCがなければ、自分の携帯に宛てて送っても良い。

会社にPCがないとか、あっても使わせてもらえない場合には、自分の携帯で会社の玄関の写メを撮って自宅のPCに宛ててメールを送信すればよい。

要は正確な出勤時刻と退勤時刻が分かれば、それで時間外労働時間を計算することができる。